マイクロ・ナノ光造形法の新展開

  • HOME »
  • マイクロ・ナノ光造形法の新展開

1.はじめに

今、誰でも自在に立体モデルを作製できる技術として、3Dプリンターが大きなブームとなっている。3Dプリンターでは、コンピュータで作成した3次元CAD(Computer-aided Design)モデルから、立体モデルを造形する。3Dプリンターの造形法には、熱溶融樹脂を押し出して積層する方式(Fused Deposition Modeling: FDM)や、光硬化性樹脂をレーザー光で固める光造形法(Stereolithography: SLA)、粉体を積層させながらレーザー光で固める方法(Selective Laser Sintering: SLS)や接着剤で固めるインクジェット方式などさまざまな方法がある。使用材料も、カラフルな樹脂材料からABSやシリコーン樹脂など多種多様な機械的特性を持った樹脂材料が提供されている。さらに最近では、 金属や砂型、セラミックス構造などを直接造形できる装置も販売されている1)。 図1は、Web of Scienceを用いて、造形技術別に学術論文の年間発表件数を調査した結果である(2013年7月現在)。この結果から、光造形法が最も古くから研究されている3Dプリンティング技術であり、研究論文数も最も多いことがわかる。

本稿では、3Dプリンターの原点とも言える光造形法に関して、その原理から最新研究までを概説する。特に、超高精細な3Dプリンターとして期待されているマイクロ光造形法について詳しく述べ、ラボオンチップや振動発電素子、医療用足場の作製など幅広い応用例を紹介する。

この続きを読むにはユーザー登録が必要です。登録されていない方は、こちらから登録をお願いいたします。

Page 1, 2, 3

横浜国立大学 丸尾昭二

図1 3Dプリンティング研究の動向(年間発表論文数の推移)

Copyright © Interlab online All Rights Reserved.
Powered by WordPress & BizVektor Theme by Vektor,Inc. technology.

×

×

×

×

×

×

×

×

×

×

年 代

技 術

1970年代

日米欧で研究開発が始まる。

1980

日本から光造形法の特許出願。

1986

米国で光造形法の特許成立。

1987

世界初の3Dプリンタ発売。

1988

米国で熱溶融積層法の特許成立。

2005

英国でRepRapプロジェクト発足。

2008

熱溶解積層法の特許が失効し、主にパーソナル用途にさまざまなメーカが参入。

2012

米国で3Dプリンタの研究機構(NAMII)設立。

2013

オバマ大統領が3Dプリンタによる米国の製造業回帰を一般教書演説。

×

方 式

特 徴

光造形法

光硬化性樹脂を用い、レーザ光を集光して2次元走査し、樹脂を一層ずつ固化させる。大型の試作品の製造も可能。

熱溶解積層法

熱で溶かした樹脂を型に押し付けて成型する。熱可塑性樹脂を用いることができる。

粉末焼結法

高出力レーザ光を集光し、樹脂や金属などの粉末を部分的に固化させる。

粉末接着法

主に石膏粉からなる粉末をノズルから噴出する接着剤によって部分的に固化する。

面露光法

光造形法の一種である。一層のデータをプロジェクタによって一括照射して固化させる。

インクジェット法

光造形法の一種である。インクジェットノズルによって樹脂を塗布し、露光して固化させる。

 

×

×

×

×

×

×

×

×

×

×

×

×

×

×

×

×

×

×

×

×

×

×

×

×

×

×

×

×

×

×

×

×

×

×

×

×

×

×

×

×

×

×

×

×

×

×

×

×

×

×

×

×

×

×

×

×

×

×

×

×

×

×

×

×

×

×

×

×

×

×

×

×

×

×

×

×

×

×

×

×

×

×

×

×

×

×

×

×

×

×

×

×

×

×

×

×

×

×

×

×

×

×

×

×

×

×

×

×

×

×

×

×

×

×

×

×

×

×

×

×

×

×

×

×

×

×

×

×

×

×

×