1.はじめに
今、誰でも自在に立体モデルを作製できる技術として、3Dプリンターが大きなブームとなっている。3Dプリンターでは、コンピュータで作成した3次元CAD(Computer-aided Design)モデルから、立体モデルを造形する。3Dプリンターの造形法には、熱溶融樹脂を押し出して積層する方式(Fused Deposition Modeling: FDM)や、光硬化性樹脂をレーザー光で固める光造形法(Stereolithography: SLA)、粉体を積層させながらレーザー光で固める方法(Selective Laser Sintering: SLS)や接着剤で固めるインクジェット方式などさまざまな方法がある。使用材料も、カラフルな樹脂材料からABSやシリコーン樹脂など多種多様な機械的特性を持った樹脂材料が提供されている。さらに最近では、 金属や砂型、セラミックス構造などを直接造形できる装置も販売されている1)。 図1は、Web of Scienceを用いて、造形技術別に学術論文の年間発表件数を調査した結果である(2013年7月現在)。この結果から、光造形法が最も古くから研究されている3Dプリンティング技術であり、研究論文数も最も多いことがわかる。
本稿では、3Dプリンターの原点とも言える光造形法に関して、その原理から最新研究までを概説する。特に、超高精細な3Dプリンターとして期待されているマイクロ光造形法について詳しく述べ、ラボオンチップや振動発電素子、医療用足場の作製など幅広い応用例を紹介する。
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