理化学研究所と国立循環器病研究センターは、脳卒中発症後の運動障害から脳神
経回路が回復するメカニズムを解明した。
脳卒中は、急性の脳梗塞や脳内出血などの脳血管障害による疾患を指し、言語障
害、運動障害、感覚まひなど、多様な神経症状を伴います。なかでも運動障害は
リハビリテーションによってある程度回復するものの、詳細な回復メカニズムは
分かっていなかった。
共同研究グループは、脳卒中患者が発症後3カ月間のリハビリテーションを行う
過程の、運動機能と脳内の「神経線維連絡性」を時間を追って観察した。その結
果、運動機能が3カ月間かけて回復する過程で、障害がある側の大脳皮質から脊
髄へとつながる神経線維連絡路(錐体路)で神経線維の変性が徐々に進む一方、
それを補うように脳の中心付近深部にある赤核で神経線維の再構築が進むことが
明らかとなった。これは、赤核における神経線維の再構築が、運動機能の回復と
関係していることを示唆している。
今後、神経線維の再構築を促進させる新しい治療法の開発や、リハビリテーショ
ン法そのものの最適化につながると期待できる。
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